「マンションの管理費ってエレベータの使用頻度が異なるのに1F住人も9F住人も同じ料金払ってる」のが肯定される根拠法は、建物の区分所有等に関する法律である。詳しい解釈は省くが、共用部分(エレベータ)については規約に特別な定めがない限り、持分に応じて共有部分の負担をすることになっている(同法19条)。要するに(すべての住民の持分が同じだと仮定すると)、エレベータを使わない1階の住人も、エレベータなしの生活が考えられないような9 階の住人も均等に分担する。
これだとなんか1階とか2階の人は損をしているように思えないかな。エレベータなんて使わないのに、なぜ負担しなくちゃいけないのか?現に、ドイツでは1階から階が上がるごとに負担額が増える方式を採用しているらしい(すなわち1階の人から順に 1:2:3:4:….という割合で負担する。正確には持分比率に階数を乗じた割合で計算。上のほうの階に商店が入ってる場合などは、その商店の客数も考慮に入れたりするらしいから「使用頻度」をかなり考慮していることになる。詳細は、古い本だけど、丸山英気著『区分所有法の理論と動態』を参照のこと)。
で、一見不公平にも見える均等分担を、どうして日本では原則として採用しているのか?道垣内正人先生は以下のように説明している。「すなわち、マンションという集合住宅の性質上、一階の人がその購入価格でそこに住むことができるのは、垂直的に多くの人が住んでいるからであり、仮に上の階がなければ、とてもその価格では購入できなかったはずである。そして、上に他の九世帯[引用者注:設問が1フロア1世帯の10階建ての話だった]が住んでもらうには、必然的にエレベータが必要であり、したがって、一階の人はたとえエレベータを利用しなくても、その利益を享受していることになるのであり、また、付加的な理由づけとして、屋上、外壁、エントランス部分といった他の共有部分の修理の場合のことを考えると、エレベータについて必要な度合いといった尺度を導入することが先例となるとすれば、たとえば、屋上から雨漏りをしても一〇階以外の人には影響がないからといって他の人はその修理費用を分担しないことをも認めることになってしまう。このようなことを避けるためにも、やはりエレベータについても均等負担の原則を貫くべきであると言えるのではあるまいか」(『自分で考えるちょっと違った法学入門』31ページ)。